車いすスポーツアスリートの肘障害実態調査による車いすスポーツ肘障害の予防に関する研究
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.37 Vol.37】
要旨
障がい者スポーツにおける肘障害の詳細な報告はほとんどない.今回,車いすマラソンアスリートの肘障害の実態を解明し,障害予防につなげることを目的とし肘検診を行った.対象は,大分国際車いすマラソン大会の参加選手35名(男性34名,女性1名)を対象とした.肘検診では,運動時痛の有無,圧痛の有無,尺骨神経Tinel徴候の有無,尺骨神経麻痺の有無,関節可動域の測定を行った.運動時痛は,35名中5名に認め,圧痛は,35名中15名に認めた.圧痛の部位は,左外側上顆が15名中14名であった.尺骨神経所見では,Tinel徴候が左側7名,右側6名認め,尺骨神経麻痺を左側2名に認めた.疼痛・圧痛・尺骨神経所見の全てにおいて,右側に比べ左側で多くの異常所見を認めた.左右ともに明らかな可動域制限は認めなかった.今回の肘検診結果より,車いすマラソンアスリートでは,半数近くの割合で,何らかの肘関節症状があることが判明した.更に,圧痛部位としては,外側上顆部で高頻度に認め,肘症状の発症には左右差があり左側に多い可能性があることが判明した.今回の結果は,車いすマラソンアスリートの肘障害予防や指導につながる重要な知見のひとつとなると考えられる.
「デサントスポーツ科学」第37巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
障がい者スポーツにおける肘障害の詳細な報告はほとんどない.今回,車いすマラソンアスリートの肘障害の実態を解明し,障害予防につなげることを目的とし肘検診を行った.対象は,大分国際車いすマラソン大会の参加選手35名(男性34名,女性1名)を対象とした.肘検診では,運動時痛の有無,圧痛の有無,尺骨神経Tinel徴候の有無,尺骨神経麻痺の有無,関節可動域の測定を行った.運動時痛は,35名中5名に認め,圧痛は,35名中15名に認めた.圧痛の部位は,左外側上顆が15名中14名であった.尺骨神経所見では,Tinel徴候が左側7名,右側6名認め,尺骨神経麻痺を左側2名に認めた.疼痛・圧痛・尺骨神経所見の全てにおいて,右側に比べ左側で多くの異常所見を認めた.左右ともに明らかな可動域制限は認めなかった.今回の肘検診結果より,車いすマラソンアスリートでは,半数近くの割合で,何らかの肘関節症状があることが判明した.更に,圧痛部位としては,外側上顆部で高頻度に認め,肘症状の発症には左右差があり左側に多い可能性があることが判明した.今回の結果は,車いすマラソンアスリートの肘障害予防や指導につながる重要な知見のひとつとなると考えられる.
「デサントスポーツ科学」第37巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 中村健, 西村行秀, 荒川英樹, 尾川貴洋, 三井利仁 |
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大学・機関名 | 和歌山県立医科大学 |
キーワード