信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動中の事故防止

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.1 Vol.1

 はじめに

 現代社会を健康に生き抜くためには積極的に運動を実施することが必要である.運動は,老化防止や成人病予防,さらには青少年の健康・体力の維持増進に欠かせないものとして重視されている.たしかに運動には素晴らしい効果のあることは事実であるが,使いかたを誤まると逆効果となり,取返しのつかない不幸な事故につながることがある.
 最近,学校における体育授業や課外活動中,また体力テスト,耐寒マラソン,時にはジョギング程度の運動によってさえ事故死するといった不幸な事態が増えてきているが,はたしてその原因はどこにあるのか検討が必要である.
 このような運動中の事故を防止する方策を編み出し,不幸な事態に遭遇することが起こらないように努力することは,今やスポーツ医学研究者に課せられた重要な使命でもある.そこで,今回は「運動中の事故防止」というテーマについて前記3名の者が分担して,その責めを果たすことにした.
 1)まず黒田教授に,内科的なもの外科的なものを含めて,運動中の事故の発生要因から事故防止対策までを,総括的にまとめていただくことにした.
 2)井関は内因性急死に的を絞って,スポーツ活動中の事故の症例を出来るだけ集め,事故発生の状況や剖検所見を分析追求することにより,その事故の原因を把握することから,事故防止対策を考えることにした.
 3)宇佐美博士は,虚血性心疾患や冠動脈狭窄の診断に運動負荷シンチグラムが極めて有効であることを実証すると共に,実際に中高年者がジョギング・トレーニング中に生じた不整脈や心電図でST低下の認められるものについて,運動負荷シンチグラフにより,真の虚血か否かの判定を行った.
 運動負荷シンチグラムの虚血性心疾患判定への実用化が,運動中の事故防止に今後大きな役割を果たすであろうことを示唆した.

「デサントスポーツ科学」第1巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 井関敏行*1, 黒田善雄*2, 宇佐美暢久*3
大学・機関名 *1 大阪市立大学, *2 東京大学, *3 住友病院

キーワード

老化防止成人病予防運動中の事故防止内因性急死に的運動負荷シンチグラム虚血性心疾患