信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 水着の着用機能性に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.2 Vol.2

 総括

 婦人用水着の着用機能性に関する検討を行い,次の事実を明らかにした.
 i)水着着用時の快適衣服圧は身体各部位により異なる.すなわち,伸縮性編織物を用いて,身体各部位ともに快適な衣服圧を得るような水着を生産するためには,型紙のサイズおよび形態として,単純にその編織物の伸縮性に応じて,各水着部位ともに対応身体寸法よりも一様の割合で縮少したパターンを用いたのでは,満足すべき結果が得られず,部位により,パターンの身体寸法からの寸法縮め率を変える必要がある.
 ii)肌および水着ともに乾燥の状態で水着を着用している場合と,肌および水着のいずれもが水にぬれた状態で水着を着用している場合のいずれであっても,身体各部位が快適と感じる衣服圧の大きさには差が認められない.すなわち,水着用材料としては,乾燥・湿潤の両状態における伸長応力挙動に関しては,できるかぎりその差の少ない編織物が望ましい.
 iii)水着着用時の不快感として,水着の水ぬれ時に生ずる冷感および皮層へのまつわりつき感が挙げられ,水着用材料としては,これらの不快感の少ないものが望まれる.
 iv)前記第ii項の特性を満足させるための水着用材料としては,ポリエステル繊維などよりなる乾湿伸長応力比が1に近い編物,あるいはスパンデックス使用の編織物などの合成繊維を用いるととが望ましく,前記第iii項の観点からは,羊毛繊維が最も望ましい.
 そこで,これらの着用機能性から考えた水着用の最適材料としては,コア・ヤーンとしてはポリエステルやアクリル,あるいはスパンデックスなどを用いることにより,乾湿時の伸長応力の差を少なくさせ,カバー・ヤーンとしては,ウールを用いることにより,水ぬれ時の肌ざわりをよくしたコア・スパン・ヤーンからなる伸縮性の大きい編地(コア・ヤーンとして伸縮性の大きいスパンデックスを用いた場合は織物でもよい)が望ましいということになる.

「デサントスポーツ科学」第2巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 山川勝, 井上恵美子
大学・機関名 武庫川女子大学

キーワード

水着着用機能性衣服圧ポリエステルスパンデックス