直接カロリーメーターによる運動中の手からの熱放散量―熱放散量の変化からみたスポーツウェアの検討―
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.2 Vol.2】
はじめに
筋活動に伴い体温が上昇する.末梢皮膚などへの血流の再分配と,それによる熱放散の高進が妨げられるような場合には,最高のパーフォマンスを得ることが困難であり,熱中症のようなスポーツ傷害も起こる可能性がある.
それらの原因を体温調節的側面から把握しておくことは,実際の体育指導者にとっても必要な条件であると考えられる.
運動時には,筋活動に,伴う代謝の高進と熱産生量の増加が起こるが,これに伴い,皮膚などからの熱放散量も増加し,体温調節中枢の働きにより,運動中といえども熱的平衡が保たれている1).
手は皮膚の中でも重要な熱放散部位であると考えられる.全体表面積に対し5%を占めるにすぎないが,血流量の増加度が大きく,容積に対する表面積の割合いが大きいなど,極めて熱放散に適した形態と機能を備えている.
手の組織を容積比で示すと,筋:15.5%,脂肪,骨,腱:54.3%,皮膚,皮下組織:30.2%と,皮層,皮下組織の占める割合が前腕部の13.4%に比べて極めて大きいことがわかる.皮層血管系では動静脈吻合が多く,大量の血液を流すに適した構造をもっている.
現在まで,深部体温(直腸温,食道温など)や皮盾温の変化と皮唐血流量との相関を求めた研究7~10)は比較的多いが,熱出納の面からこれを追究した研究1,5)は多くない.
そこで,本研究では,手からの熱放散量HL(R+C)を測定できる直接カロリメータ6)を用いて安静時および連動時の手からのHL(R+C)を定量化し,
実験1.手からのHL(R+C)と運動強度
実験2.手からのHL(R+C)と季節差
実験3.手からのHL(R+C)と被服条件を観察することにより,手からの熱放散の重要性を検討した.
「デサントスポーツ科学」第2巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
筋活動に伴い体温が上昇する.末梢皮膚などへの血流の再分配と,それによる熱放散の高進が妨げられるような場合には,最高のパーフォマンスを得ることが困難であり,熱中症のようなスポーツ傷害も起こる可能性がある.
それらの原因を体温調節的側面から把握しておくことは,実際の体育指導者にとっても必要な条件であると考えられる.
運動時には,筋活動に,伴う代謝の高進と熱産生量の増加が起こるが,これに伴い,皮膚などからの熱放散量も増加し,体温調節中枢の働きにより,運動中といえども熱的平衡が保たれている1).
手は皮膚の中でも重要な熱放散部位であると考えられる.全体表面積に対し5%を占めるにすぎないが,血流量の増加度が大きく,容積に対する表面積の割合いが大きいなど,極めて熱放散に適した形態と機能を備えている.
手の組織を容積比で示すと,筋:15.5%,脂肪,骨,腱:54.3%,皮膚,皮下組織:30.2%と,皮層,皮下組織の占める割合が前腕部の13.4%に比べて極めて大きいことがわかる.皮層血管系では動静脈吻合が多く,大量の血液を流すに適した構造をもっている.
現在まで,深部体温(直腸温,食道温など)や皮盾温の変化と皮唐血流量との相関を求めた研究7~10)は比較的多いが,熱出納の面からこれを追究した研究1,5)は多くない.
そこで,本研究では,手からの熱放散量HL(R+C)を測定できる直接カロリメータ6)を用いて安静時および連動時の手からのHL(R+C)を定量化し,
実験1.手からのHL(R+C)と運動強度
実験2.手からのHL(R+C)と季節差
実験3.手からのHL(R+C)と被服条件を観察することにより,手からの熱放散の重要性を検討した.
「デサントスポーツ科学」第2巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 平田耕造*1, 永坂鉄夫*1, 平井敦夫*2, 平下政美*3, 高畑俊成*4 |
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大学・機関名 | *1 金沢大学, *2 金沢女子短期大学, *3 金沢経済大学, *4 金沢工業大学 |
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