信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF ヒトの呼吸リズム形成機構と反射系 ―運動能力による相異―

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.2 Vol.2

 はじめに

 吸息,呼息というリズミカルな交代性運動がいかに形成されているのか.19世紀末,呼吸の研究が盛んに行われるようになってからの一大研究テーマであるが,一世紀を経た現在でもまだ解明されていない.
 呼吸中枢には呼吸のためのペースメーカー細胞が存在しているのか,あるいは,幾種類かのニューロンのネットがリズムを作り出しているのか,各呼吸研究グループにより考え方が異なり,それぞれ独自のモデルを作っている.
 報告者は,スウェーデンのカロリンスカ研究室で1960年代以来作られて来た吸息オフスイッチ理論の確立を目ざしている.この理論は,呼吸中枢の神経性細胞からの記録と,実際の生体の呼吸運動の解析とから作られたもので,この理論によると,生体の外部環境への呼吸運動調節機構の応答がきわめて正確にとらえられる.
 運動と呼吸は,切っても切れない関係にあり,運動時の呼吸変化は,生体にとってきわめて重大な意味を持っている.呼吸リズム形成機構と運動との関係を調べることは,ただ単にスポーツとの関連のみならず,動作,労働との関連も生じて来る.機構の状態により適当運動量も定めなくてはならないし,機構に異常のあるヒトでの労働量も定められるであろう.
 この報告書の研究は,呼吸リズム形成機構を中心に,運動との関連,運動能力との関連,病態との関連について調べたものである.

「デサントスポーツ科学」第2巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 本間生夫, 永井猛, 小林康孝, 小林啓三, 碓井外幸
大学・機関名 東京慈恵会医科大学

キーワード

呼吸吸息オフスイッチ理論呼吸リズム