学校体育における機械器具の安全性

　緒言

　体育・スポーツ活動中の傷害事故に関して，わが国では，日本学校安全会および財団法人スポーツ安全協会等の所管になる保障制度の給付を通して，その実態が統計的に把握されている．しかし，この実態が具体的な体育・スポーツ活動の実践や指導に反映しているかどうかについては，年々同類の事故がしばしば報告されることから，必ずしも望ましい状態にあるとはいえないようである．
　近年，運動による健康・体力づくりの奨励により，学校においても日常的な身体活動の推進がはかられ，また「ゆとりのある教育」の基本方針からみて，今後ますます学校体育および学校教育全般の中で，日常的な運動活動の振興がみられるものと思われる．
　最近は，体力づくりまたは技能づくりの強化に伴い，学校体育の中で，種々の運動機械器具を利用した指導・実践がなされているようにみえるが，このことにより，運動に伴う傷害事故も増加しているのではないかと危ぶまれる．
　本研究は，現在小学校，中学校および高等学校において多用されている運動用機械器具について，つぎの3点から問題を究明することを目的として遂行したものである．
　（1）学校体育における運動機械器具の使用に伴う傷害事故の実態の把握
　（2）運動用機械器具の工学的側面からの安全性の検査
　（3）機械器具の安全使用と指導・管理上の基本問題の明確化と，製品の安全基準と指導指針の具体的表明

「デサントスポーツ科学」第2巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団

研究者名	岩間英太郎1, 松井秀治2, 石河利寛3, 高沢晴夫4, 加賀谷凞彦5, 石川旦6, 池上康男*2
大学・機関名	財団法人体育科学センター1, 名古屋大学2, 順天堂大学3, 横浜市立港湾病院4, 埼玉大学5, 東京大学6

キーワード

学校体育、運動用機械器具

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