信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF ヒマラヤ登山用繊維材料の研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.3 Vol.3

 最近,ヒマラヤ登山はありふれたものとなったが,テントが風で破られる事故がふえている.ヒマラヤ登山用のテントの織物について著者の研究室で行った研究をまとめ御参考に供したい.
 ヒマラヤは地球上の最高所であるから,地上と異なったきびしい自然条件をそなえている.特に風や紫外線,寒気の影響が著しい.そのうえに,この高山には,多量の装備・食糧を人間が背負って登らなければならないために,それらの重量の制限が大きい.
 たとえば,距離(日数)Dのところを,荷物の総重量Wkgを運ぶとして,人夫が何人(N)要るかを考えてみると,人夫1人の負荷量をwpkg,人夫の1日の食糧をwfkgとすると,
 N=W/(wp-wf・D)
 という関係がある.
 仮りに,Wが10トンあるとして,wfを0.5kg,wpを40kg,Dを30日とすると,N=40⁰人となる.距離(日数)が長くなるほど必要な人数は増し,80日以上のところは,何人かかっても運べないことになる.
 軽量で,しかも烈風や寒気に耐える装備をつくるためには,すぐれた繊維材料が必要である.
 本報では,主として高所用テント材料の開発に関して述べたい.

「デサントスポーツ科学」第3巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 奥野温子,安田武,井尻登喜子
大学・機関名 武庫川女子大学

キーワード

ヒマラヤ登山テントの織物暴露日数テントの織物引裂強度の劣化