信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 上体おこし腹筋運動と腰痛発生との関連について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.3 Vol.3

 腹筋強化の目的で,膝関節伸展位・足関節支持での上体おこし運動を反復行って腰痛をきたした29症例について臨床的検討を加えた.
 症例は,男21例,女8例で,平均年齢は21.2歳であった,腰痛症と診断された者22例,腰椎椎間板症4例,脊椎分離症2例,変形性脊椎症1例であった.いずれも保存療法により,比較的短期間に軽快した.
 臨床的研究と関連して,6名の男子大学生を被検者として,膝関節の屈曲・伸展ならびに足関節支持の有無の組合せによる4種類の上体おこし運動の筋電図分析を行った.
 腹直筋は,体幹屈曲の前半と体幹伸展の後半に作用し,大腿直筋は中間期に主に作用することが示された.腹直筋の筋電図積分値(i-EMG)は,足関節支持のない場合は,ある場合に比して大きい傾向が認められた,
 一方,大腿直筋のi-EMGは,膝関節伸展位では膝関節屈曲位に比して,また足関節支持のある場合は支持のない場合に比して,それぞれ大きい傾向がみられた.
 以上より,膝関節伸展位・足関節支持での上体おこし運動は,腹筋強化の運動としては必ずしも有効でなく,腰部障害をきたしやすいことからも,避けるべきと考えられる.また,腹筋強化の運動としては,膝関節屈曲位・足関節支持なしでの部分上体おこし運動が望ましい.

「デサントスポーツ科学」第3巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 武藤芳照*1,中村好男*1,宮下充正*1,森健躬*2
大学・機関名 *1 東京大学,*2 東京厚生年金病院

キーワード

上体おこし運動腰痛腹直筋体幹屈曲部分上体おこし運動