信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 視力障害者に対する有酸素的トレーニングの影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.3 Vol.3

 これまで,有酸素的作業能の改善のための運動処方の基礎的資料を得る目的で,運動の質と量を規定し,そのトレーニング効果を検討した報告が数多くなされてきた20).それらの報告によれば,トレーニング効果の程度は,特に運動強度への依存性が高いことが明らかにされてきた.しかしながら,持続時間に関しては,比較的短時間のものが多く,運動強度に比べて十分な検討がなされていないようである.
 著者らは,従来,持続時間に着目し,50%VO₂maxの強度で60分間持続する自転車エルゴメータ運動を週3回,10週間実施するトレーニングにより29~31),種々の生理的適応(有酸素的作業能力の向上,皮脂厚の減少,調整力の改善など)をもたらすことを報告してきた.
 さらに,体力の初期水準の高い青年男子を対象に32),頻度を週3回群と5回群に区分してトレーニングを行った結果,後者にのみVO₂maxの改善を認め,トレーニング頻度の違いによるトレーニング効果の差異を明らかにしている.
 そして,週3回群にVO₂maxの改善が認められなかったのは,彼らの初期水準が高かったためと考察した.
 同じ報告の中で,Shindoら32)は,これまでの研究成果を総括して,トレーニング前の初期水準(VO₂max/wtで35-55ml/kg/minの範囲)とVO₂max/Wtの改善率との間には,統計的に有意な負の相関関係のあること(r=-0.503;p<0.01),および本トレーニング条件でVO₂maxの改善が期待される初期水準の上限値は,約45ml/kg/minであることを認めている.しかし,初期水準の低い(VO₂max/wt 35ml/kg/min以下)被検者を対象とした場合,同一のトレーニング条件で,VO₂maxにどの程度の改善が得られるかは明らかでない.
 Lamm 17)は,初期水準が低いことに関連して,盲人は生活の様式が一定であり,しかも,日常生活において低い身体活動水準であるという理由により,理想的な被検者群であることを指摘している.
 そこで本研究では,VO₂maxの初期水準が低いことが予備テストにおいて確認された先天性の全盲生徒を対象に,トレーニングを実施することにした.そして,初期水準の低い全盲生徒に対する50%VO₂max・60分間トレーニングの影響を検討するとともに,これまで本研究室で得られた,同一トレーニング条件でのVO₂max/wtの改善率と初期水準との関連性を究明した.

「デサントスポーツ科学」第3巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 進藤宗洋*1,田中弘暁*1,志波和美*1,熊谷秋三*2,吉武裕*3,安西清美*4,田村稔*4,生田純男*5
大学・機関名 *1 福岡大学,*2 佐賀医科大学,*3 愛媛大学,*4 福岡市民体育館,*5 福岡市博多保健所

キーワード

有酸素的作業能運動処方エルゴメータ運動全盲CMI健康調査