信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF ウォーミングアップが運動時の生体機能に及ぼす影響について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.4 Vol.4

 要旨

 あらゆるスポーツ活動の場において,ウォーミングアップが行なわれているが,その実態や効果については,これまであまり明らかにされているとは言えない.そこで本研究では,陸上競技のウォーミングアップの実態を調査するとともに,これらのウォーミングアップが短時間の最大作業に及ぼす影響について検討をした.結果については,およそ次のようである.
 1)陸上競技選手は,試合の前に40〜90分のウォーミングアップを行なうのが常である.その内容は,ジョギング,体操,ストレッチング,快調走,ダッシュなどである.彼らは,具体的には,柔軟性を高めることや呼吸・循環機能を高める目的でウォーミングアップを行なっている.
 2)ウォーミングアップにより,結果的に直腸温の0.9〜1.0℃の上昇が認められた.彼らのウォーミングアップ中の作業強度は,VO₂maxのおよそ30〜70%の範囲であり,ジョギングや快調走では約70%,体操やストレッチング中はおよそ30%であることが観察された.
 3)ウォーミングアップによって,作業成績は向上したが,作業中および作業後における換気量,酸素摂取量,血中乳酸量などには,ウォーミングアップを行なった場合と行なわなかった場合の大きな差は認められなかった.

「デサントスポーツ科学」第30巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 安田好文*1, 油座信男*2, 伊藤宏*3
大学・機関名 *1 豊橋技術科学大学, *2 中京女子大学, *3 静岡大学

キーワード

ウォーミングアップ柔軟性呼吸・循環機能