マラソン少女の有酸素能力及び長距離走能力について
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.4 Vol.4】
総括
フルマラソンを走る少女姉妹(Y.C. 9.6歳,R.C. 8.5歳)の有酸素的能力および長距離走能力を知るために,日常的ランニングの状況,レースへの参加状況を調査するとともに,形態的機能的体力の発達段階,日頃のランニング強度および最大酸素摂取量の測定などを行った結果,次のようなことがわかった.
1)両名とも同時期(Y.C.が5歳,R.C.が4歳)に走り始め,約5年を経過した現在では,1日10〜15kmのランニングを日課としている.
2)レース参加も積極的であり,子供の参加が許される気楽なふんい気の大会を中心に,過去1年間にフルマラソン2回を含む計13回のレースに2人そろって出場し,すべて完走している.
3)両名とも身長・体重をはじめとする形態的な発達は順調であり,ほぼ同年齢の平均値に位置している.Y.C.は筋力と柔軟性にすぐれ,瞬発力,敏捷性にやや劣るが,それ程顕著なものではなく,日常的なランニングが形態的機能的な体力面に悪影響を及ぼしているとはいえない.
4)日常的なランニングの中の心拍数は,両名ともほぼ150〜180拍/分であり,普通の子供の活発なあそび中の水準とほぼ同じであったが,あそび中の心拍数は間欠的な変動があるのに対し,ランニング中は,持続的なパターンを示した.
5)最大酸素摂取量は,Y.C.が1.413l/min(52.3ml/kg.min),R.C.が1.226l/min(49.1ml/kg・min)であり,体協における一般青少年最大酸素摂取量評価表からみると,両名とも最もすぐれた第5段階に位置するが,並はずれた高い値であるとはいえない.また,マラソン走行中の酸素摂取水準は両名とも,ほぼ70%VO₂maxであることが示唆された.
「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
フルマラソンを走る少女姉妹(Y.C. 9.6歳,R.C. 8.5歳)の有酸素的能力および長距離走能力を知るために,日常的ランニングの状況,レースへの参加状況を調査するとともに,形態的機能的体力の発達段階,日頃のランニング強度および最大酸素摂取量の測定などを行った結果,次のようなことがわかった.
1)両名とも同時期(Y.C.が5歳,R.C.が4歳)に走り始め,約5年を経過した現在では,1日10〜15kmのランニングを日課としている.
2)レース参加も積極的であり,子供の参加が許される気楽なふんい気の大会を中心に,過去1年間にフルマラソン2回を含む計13回のレースに2人そろって出場し,すべて完走している.
3)両名とも身長・体重をはじめとする形態的な発達は順調であり,ほぼ同年齢の平均値に位置している.Y.C.は筋力と柔軟性にすぐれ,瞬発力,敏捷性にやや劣るが,それ程顕著なものではなく,日常的なランニングが形態的機能的な体力面に悪影響を及ぼしているとはいえない.
4)日常的なランニングの中の心拍数は,両名ともほぼ150〜180拍/分であり,普通の子供の活発なあそび中の水準とほぼ同じであったが,あそび中の心拍数は間欠的な変動があるのに対し,ランニング中は,持続的なパターンを示した.
5)最大酸素摂取量は,Y.C.が1.413l/min(52.3ml/kg.min),R.C.が1.226l/min(49.1ml/kg・min)であり,体協における一般青少年最大酸素摂取量評価表からみると,両名とも最もすぐれた第5段階に位置するが,並はずれた高い値であるとはいえない.また,マラソン走行中の酸素摂取水準は両名とも,ほぼ70%VO₂maxであることが示唆された.
「デサントスポーツ科学」第27巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 有吉正博, 押切由夫 |
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大学・機関名 | 東京学芸大学 |
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