マラソンの肝機能に及ぼす影響
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.4 Vol.4】
要旨
フルマラソンが生体,ことに肝臓機能に及ぼす負担を明らかにする目的で,5名のランナーにマラソン走を実施し,走前日,走翌朝,1週後および2週後に血清逸脱酵素の測定と,肝臓の色素排池能検査(ICG test)を行なった.その結果は次のとおりである.
(1)血清酵素(GOT,GPT,LDH,CPK)は,いずれも走直後,走翌朝に上昇を示したが,一週後にはすべて前値のレベルまで回復した.
(2)LDHアイソザイムのうち,LDH4,LDH5は走直後に有意に増加し,翌朝も安静レベルに復していなかった.
(3)ICG血中消失率は,走直後,翌朝とも有意に低下し,肝でのICGクリアランスに遅延が認められた.
(4)血清酵素活性の上昇やICG血中消失率の低下ともに,その変動幅は試合時に比べて軽度であった.
以上のことから,練習時のフルマラソン走においても,骨格筋をはじめ肝臓に及ぼす影響が認められることから,フルマラソン走後少なくとも2週間は,トレーニングの質量を落した休養調整が必要と思われる.
「デサントスポーツ科学」第9巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
フルマラソンが生体,ことに肝臓機能に及ぼす負担を明らかにする目的で,5名のランナーにマラソン走を実施し,走前日,走翌朝,1週後および2週後に血清逸脱酵素の測定と,肝臓の色素排池能検査(ICG test)を行なった.その結果は次のとおりである.
(1)血清酵素(GOT,GPT,LDH,CPK)は,いずれも走直後,走翌朝に上昇を示したが,一週後にはすべて前値のレベルまで回復した.
(2)LDHアイソザイムのうち,LDH4,LDH5は走直後に有意に増加し,翌朝も安静レベルに復していなかった.
(3)ICG血中消失率は,走直後,翌朝とも有意に低下し,肝でのICGクリアランスに遅延が認められた.
(4)血清酵素活性の上昇やICG血中消失率の低下ともに,その変動幅は試合時に比べて軽度であった.
以上のことから,練習時のフルマラソン走においても,骨格筋をはじめ肝臓に及ぼす影響が認められることから,フルマラソン走後少なくとも2週間は,トレーニングの質量を落した休養調整が必要と思われる.
「デサントスポーツ科学」第9巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 平田文夫 |
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大学・機関名 | 長崎大学 |
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