信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF スポーツ選手としての男子高校生における鉄欠乏症

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.5 Vol.5

 要旨

 近年,男子高校生,殊にスポーツクラブ所属の男子学生において,鉄欠乏症の存在が報告され,スポーツ医学および学校保健上極めて重要な問題となってきている.今回われわれはスポーツクラブ所属男子高校生を対象に血液学的所見,鉄代謝の検討ならびに身体状況,日常活動などにつきアンケート調査を実施し,スポーツ男子高校生の特徴の解明を試み,以下の結果をえた.
 1)血液所見(赤血球数,血色素量,赤血球容積,白血球数および分画,血小板数)は,正常値内にあった.
 2)血清鉄値は,第1学年が他学年に比し有意に低値であった.
 3)総鉄結合能値は,血清鉄値とは逆に第1学年が他学年に比し高値であったが,有意差はなかった.
 4)血清フェリチン値は,第1学年は第2学年に比し有意に低値であった.
 5)血清鉄低値例の頻度を各学年でみると,第1学年8.7%,第2学年17.5%および第3学年42.9%にみられた.
 6)多変量解析(林の数量化二類)では,血清鉄低値例は総運動時間が少なく,集中力の低下を自覚するものが多く,睡眠をより多く必要とすることが示唆された.血清フェリチン低値例では,総運動時間は血清鉄低値の者より若干長い傾向にあるものの,学力の低下を自覚するものが多くみられた.

「デサントスポーツ科学」第5巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 宮崎保, 桜田恵右, 島田泰栄, 小野英夫, 浜田結城, 洞田克巳, 大原行雄
大学・機関名 北海道大学

キーワード

男子高校生鉄欠乏症スポーツ医学血清鉄