信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 無呼吸・過呼吸負荷法によるヒトの洞律動の特性

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.6 Vol.6

 要旨

 洞律動の特性を調べる目的で,健康成人を被験者に2つの実験を行なった.1)安静時とからこぎ運動下の呼吸性不整脈の比較.2)運動時の心拍変動への無呼吸の影響.
 呼吸速度を4心拍−1呼吸で規定して得られた結果は,次のとおりである.
 1.安静時において,呼息相の最低心拍数が増大するに従って呼吸性不整脈は低下した. 
 2.上述の呼吸性不整脈曲線は,肺の伸展およびからこぎ運動により右方移動した.
 3.再呼吸法により呼吸中枢を興奮させた時の呼吸性不整脈曲線は,肺の過伸展とからこぎ運動の組み合わせで右方移動した.
 4.過呼吸時の呼吸性不整脈曲線および吸息一無呼吸時のR-R間隔変動係数は,からこぎ運動によって影響されなかった.
 5.運動時の呼吸性不整脈は,闘値心拍水準を越えると一定となった.
 6.運動時の心拍水準の増大に従って,息こらえ初期および息こらえ限界点後の心拍低下は抑制された.
 運動時の呼吸性不整脈は,心臓抑制中枢の興奮水準の動揺を示し,止息初期の心拍低下は,運動時の心拍水準の維持機構の余裕力を示しているものと考えられる.

「デサントスポーツ科学」第6巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 小林康孝
大学・機関名 東京慈恵会医科大学

キーワード

洞律動呼吸性不整脈過呼吸時闘値心拍水準