信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 発育期におけるスポーツ選手の等速性筋力の特性の解明と筋力トレーニング処方の確立

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.6 Vol.6

 要旨

 目的:発育期にある各種運動選手の等速性筋力の特性を明らかにするとともに,筋力トレーニング前後の等速性筋力を測定して,筋力トレーニング処方作成のための基礎資料を得ることである.
 方法:被検者は,陸上競技選手82名(中学生男子12名,女子11名,高校生男子38名,女子21名),野球選手108名(高校生男子),水泳選手21名(高校生男子13名,女子8名),ボート選手13名(高校生男子8名,女子5名)およびエスキーテニス選手70名(大学生男女各35名)の合計294名である.
 等速性筋力の測定には,CybexⅡmachine(Lu-mex社製)を用いた.被検者は座位の姿勢で右側下肢の膝関節を約90度に保ち,脚伸展動作の際のピークトルクを記録した.また,角速度の一番おそいピークトルクをもとに各角速度のピークトルクの割合を求めて%ピークトルクとした.
 結果:1) 中学生,高校生および大学生の各年代のピークトルクは,各角速度ともに男子は女子をうわまわるが,%ピークトルクでは男女差は見られない.
 2) 各年代におけるピークトルクの性差は,年齢の多い年代になる程少なくなる.
 3) 各種スポーツのピークトルクは,野球,水泳,陸上競技の順に大きい傾向を示したが,%ピークトルクでは差は見られなかった.
 4) 陸上競技の種目別のピークトルクは,短距離と跳躍の間では差はみられないが,短距離と長距離,跳躍と長距離の間では有意な差がみとめられた.%ピークトルクでは3者間で差がみられなかった.
 5) 野球選手のピークトルクは,外野手,捕手,投手,内野手の順に大きい傾向を示したが,%ピークトルクではそれぞれ4者間には差がみられなかった.
 6) パワーを目的とした筋力トレーニングでは,ピークトルクに著明なトレーニング効果がみられ,また%ピークトルクにも著明な効果がみられた.特に角速度の大きいピークトルク,%ピークトルクにトレーニング効果は大であった.

「デサントスポーツ科学」第6巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 菊池邦雄, 調枝孝治, 渡部和彦, 磨井祥夫
大学・機関名 広島大学

キーワード

発育期等速性筋力筋力トレーニング処方