信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高齢者の健康に関するスポーツ医・科学的研究 1.スポーツ経験の長い中高年者の運動と健康に関する調査

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.6 Vol.6

 要約

 卒業年次から50〜79歳と思われるN体育大出身男性に5歳間隔で300名宛(計1,800名)無作為抽出し健康と運動に関する郵送調査を行った.第1回郵送に対し回答のあった1,121名(回収率62%)の成績を,厚生省が実施した,保健衛生基礎調査(昭54,55,57年)成績と比較した.身長,体重は国民平均より大でかつ加齢による低下が少なかった.国民平均では多くの自覚症状があったが,N体育大出身者ではほとんどなかった.
 自覚的健康評価が高く例えば「非常に健康」は一般の12%に対し36%あった.高齢にいたるまで健康評価は高く,低下する一般国民との差は高齢者で一層著明となった.
 循環器疾患の既往はむしろ多かった(39%対31%).高血圧(35%対26%)および脳卒中(3.7%対2.4%)の既往も多かった.その理由の一つとしてスポーツを行う者に健康チェックの機会が多いことが考えられた.体重が大きいこと,飲酒者が多いことも高血圧を多くしている要因と考えられた.はげしいスポーツを行っている者が半数以上(55%対24%)あった.飲酒者は多く喫煙者は少なかった、禁煙した者が多いことが目立った(36%対17%).食物の選択その他の保健行動も体育大出身者はより注意を払っていた.
 初回回答者は対象集団中とくに健康意識の高い人が選択されている可能性はあるが,全体を通覧して,N体育大出身者は生来健康と体力に恵まれた者が選ばれている他,健康に留意する生活態度が老齢に達するまでの体調維持,換言すれば老化課程の進行の遅延に貢献しているようにみえた.

「デサントスポーツ科学」第6巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 七田恵子*1, 黒田善雄*2, 高嶋洌*3
大学・機関名 *1 財団法人 東京都老人総合研究所, *2 東京大学, *3 杏林大学

キーワード

健康運動生活態度