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Research Seeds

PDF 気管支喘息児に及ぼす水泳負荷の影響に関する基礎的研究 ―気管支滑筋および心筋のカテコラミン含有量に及ぼす水泳負荷の影響―

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.7 Vol.7

 要旨

 瑞息の発症の場である気管平滑筋のカテコラミン含有量に及ぼす1回水泳負荷の影響について研究した.
 10週齢のwistar系雄性ラットを2群に分け,安静対照群と水泳負荷群とした.水泳負荷群のラットには,温水中で3時間の遊泳を負荷させた.安静対照群は安静状態で,水泳負荷群は遊泳終了後ただちに気管平滑筋および心筋を摘出し,カテコラミンの定量に供した.
 安静対照群と比較して,水泳負荷群の気管平滑筋内カテコラミン含有量はノルエピネフリン(NE)で58%の有意な減少を示し,エピネフリン(EP)およびドパミン(DM)では2.3および1.8倍とおのおの有意な増加を示した.心筋内カテコラミン含有量もおのおの,気管平滑筋内カテコラミン含有量と同様の変動を呈した.
 一方,実験的に求めた,気管平滑筋のアセチルコリン誘発性張力はイソプロテレノールによって張力が抑制される傾向であった.
 このようなことからすると,今回の実験で用いたような水泳負荷は,気管平滑筋および心筋でのNEの消費を増加させ,さらにDMからのNE合成を促進させるものと考えられる.したがって,適切な負荷条件での持続的な水泳は両組織のNEレベルを上昇させる可能性があり,気管平滑筋を弛緩させるという意味で瑞息の原因療法としての水泳の有効性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第7巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 黒川貞生*1, 栗原敏*1, 小西真人*2
大学・機関名 *1 国際武道大学, *2 東京慈恵会医科大学

キーワード

気管平滑筋カテコラミン含有量水泳負荷心筋