信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 走者の身体特性がランニングシューズの動的機能に及ぼす影響について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.7 Vol.7

 緒言

 近年,健康の維持・増進,及び精神的ストレスの解消を目的として走る,いわゆる健康ジョギングの愛好者が増加しつづけているなかで,ジョガー.ランナーに特発する諸種の障害の予防策,または,治療方法が,わが国においても深刻な医学上の問題として論じられてきている.ジョギングブームの到来に先駆けて,昭和56年に日本体育協会が全国の大衆ジョガーを対象として行ったランニング障害に関するアンケート調査15)では,実にジョガーの半数が既に何等かの障害を経験していたという事実を浮きぼりにし,その後の様々の角度からの研究に拍車をかけてきた.
 今日までの知見を総括するとランニング障害の原因としては,1)練習時間,距離などトレーニング方法や内容に関連する諸因子の影響,2)肥満や足部および下肢関節の可動性やアライメントの異常など個体の身体的特'性諸因子の影響,3)シューズ,路面,気候など,用具・環境的諸因子の影響,そして,4)それら因子間の交互的作用の影響が挙げられる.
 今回は,身体的特性を表す数多くの因子の中から特に障害との関連性が深いと指摘されてきた体重,および「足型」の二因子に着眼し,それぞれの因子が走者に及ぼす負荷作用について,ランニングシューズの機能性との関連性もふまえながら検討し,障害予防への一助となるべき基礎的資料を提供することを目的とした.すなわち,本研究では,1)身体質量差およびシューズの緩衝性瀧能差が実走時において身体へ作用する力(地面反力)に及ぼす影響,そして2)距骨下関節部の可動範囲,およびそのアライメント角度など主に静的な測定値にもとづいて分類される回内や回外足などの「足型」の差とシューズの足首の安定性機能(foot control function)が実走時の動的状態におけるアライメント角度および足裏への力作用に及ぼす影響,の二点について検討した.

「デサントスポーツ科学」第7巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 木下博, 寺岡敏郎, 生田香明
大学・機関名 *1 兵庫教育大学, *2 大阪大学

キーワード

ジョギング足首の安定性機能回内足回内不足正常足緩衝性機能使い過ぎ症候群