信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 潜水スーツの耐寒性と機能性に関する基礎的研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.7 Vol.7

 まとめ

 潜水スーツの耐寒性と機能性を調べるための基礎的研究として,最も耐寒性にすぐれていると考えられる南極で使用された6.5mm厚のドライスーツと3mm厚の潜水用手袋,および一般的に使用されている3mm厚のウェットスーツについて,その耐寒性と機能性をみた.
 得られた結果は以下の通りである.
 1.ドライスーツを使用した場合,1回の潜水作業時間に相当する30分間の冷水(3℃)への浸水では,衣服の有無にかかわらず十分に体温は保持され,寒さに対する苦痛も少なかった.
 2.ウェットスーツを使用した同様の実験では,直腸温は保持されたが,寒さに対する苦痛は大きく,実際の作業は困難と考えられた.
 3.ドライスーツを着用した場合にも,3mm厚の潜水用手袋では手の温度低下はきわめて大きく,手指の機能性も40分間で約半分にまで落ち,潜水作業に著しく影響すると考えられた.
 4. 以上の結果から,極寒地での潜水作業においては,ドライスーツの耐寒性能は十分であっても,潜水用手袋の耐寒性が十分ではなく,実際の作業においては,作業時間を決める限界因子となることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第7巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 島岡清*1, 山口立雄*2, 渡辺研太郎*3
大学・機関名 *1 名古屋大学総合保健体育科学センター, *2 岡山大学, *3 国立極地研究所

キーワード

海洋スポーツ潜水スーツウェットスーツ耐寒性機能性潜水用手袋