運動時の身体冷却が生理的反応に及ぼす影響
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.7 Vol.7】
要約
健康男子9名を対象に,室温24℃,湿度50%の環境下で自転車エルゴメータを用いて,最大酸素摂取量の55%に相当する運動を60分間負荷した.この間,15分ごとに1)前額部,2)腰背部,3)前額部と腰背部を同時に約5℃のCold pack(表面積147cm²)を用いてそれぞれ5分間冷却した.その結果を要約すると次のとおりである.
1.前額部冷却によって,運動時の外耳道温および直腸温の上昇を軽減した.しかし,平均皮腐温,平均体温および体熱量への影響は認められなかった.
2.腰背部冷却ならびに前額部と腰背部の同時冷却によって,運動時の外耳道温,直腸温および平均皮唐温の上昇が軽減した.
3.運動中の体重減少量は,約1.1%に相当したが,身体冷却と発汗量との間に顕著な差は認められなかった.
4.身体冷却によって,運動時の心拍数増加が抑制された.
5.運動終了後における前額部および腰背部の同時冷却は,深部体温の低下には直接的影響を及ぼさなかった.しかし,平均皮膚温の低下率が大きく,その結果,体熱量の軽減を誘発した.
以上の結果は,運動中の身体冷却が体温上昇および心拍数増加を抑制することを示唆している.
「デサントスポーツ科学」第7巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
健康男子9名を対象に,室温24℃,湿度50%の環境下で自転車エルゴメータを用いて,最大酸素摂取量の55%に相当する運動を60分間負荷した.この間,15分ごとに1)前額部,2)腰背部,3)前額部と腰背部を同時に約5℃のCold pack(表面積147cm²)を用いてそれぞれ5分間冷却した.その結果を要約すると次のとおりである.
1.前額部冷却によって,運動時の外耳道温および直腸温の上昇を軽減した.しかし,平均皮腐温,平均体温および体熱量への影響は認められなかった.
2.腰背部冷却ならびに前額部と腰背部の同時冷却によって,運動時の外耳道温,直腸温および平均皮唐温の上昇が軽減した.
3.運動中の体重減少量は,約1.1%に相当したが,身体冷却と発汗量との間に顕著な差は認められなかった.
4.身体冷却によって,運動時の心拍数増加が抑制された.
5.運動終了後における前額部および腰背部の同時冷却は,深部体温の低下には直接的影響を及ぼさなかった.しかし,平均皮膚温の低下率が大きく,その結果,体熱量の軽減を誘発した.
以上の結果は,運動中の身体冷却が体温上昇および心拍数増加を抑制することを示唆している.
「デサントスポーツ科学」第7巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 藤島和幸, 大柿哲朗, 小室史恵 |
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大学・機関名 | 九州大学 |
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