信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 長時間運動の作業能力に及ぼす飲料摂取の効果 ―紅茶の摂取が長距離走の持続時間を延長できるか―

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.7 Vol.7

 要旨

 長時間走の成績に及ぼす蔗糖あるいはcaffeine溶液の摂取の効果を調べるために,高校生の陸上競技中長距離選手男子5名が,各自の80%VO₂maxに相当する速度でトレッドミル走を走行が不可能になるまで実施した.被検者は,運動前と運動45分とにplacebo(Con.),placeboと蔗糖(90g)(Su.),caffeine(420mg)(Caf.)および蔗糖(90g)とCaffeine(420mg)(Su.+Caf.)のいずれかを摂取した.
 走行時間は,Con.よりもそれ以外の試行がいずれも有意に延長した.Con.以外の試行間では有意差は認められなかったが,Su.+Caf.において5名中4名が最も延長した.運動時に,血糖および炭水化物(CHO)燃焼量は,Su.がCOn.よりも有意に高かった.血漿遊離脂肪酸(FFA)および脂肪(Fat)燃焼量は,Caf.がCon.よりも高かったが,その差は有意ではなかった.いっぽう,Su.+Caf.では,血糖および血漿乳酸(LA)はCon.よりも有意に高く,血漿FFAおよびCHOとFat燃焼量は,Con.とほぼ等しかった.
 以上の結果から,Su.,Caf.およびSu.+Caf.における試験飲料摂取は,80%VO₂maxで行う長時間走の成績向上に効果的であることが結論された.また,それぞれの試験飲料摂取は,運動に対するエネルギー供給の変化とそれに伴う基質利用の変化とを生じさせて,筋glycogen利用を節約させることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第7巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 佐々木弘志*1, 前田順一*1, 碓井外幸*1, 勝木道夫*1, 橋羽裕規男*2
大学・機関名 *1 財団法人北陸体力科学研究所, *2 金沢大学医療技術短期大学部

キーワード

長時間走蔗糖caffeine筋glycogen