中年齢女子，高年齢男子，および高年齢チャンピオン・ジャンパーの筋出力にみられる身体トレーニングの効果
【大分類：7. デサントスポーツ科学 小分類：7.7 Vol.7】
要約
身体トレーニングが筋出力に及ぼす影響を検討するために24名の健常な中年齢女子（42-63歳）と9名の活動的な高齢男子（63-81歳）について測定を行った．13名の女子は週3回12週間にわたり等張性の膝関節伸展トレーニング（実験Ⅰ）を，11名は週5回，8週間の等速性肘関節屈曲トレーニング（実験Ⅱ）を実施した．60-300度/秒の速度範囲でサイベックスⅡを用いて測定した等速性筋出力は両実験群とも全速度において有意に向上したが，それに関連した形態上の変化は認められなかった．
実験Ⅲでは1名のエリート高齢競技選手の大腿外側広筋に生検を施し，静・動的筋出力について8名の対照群と比較した．筋線維組成は同年代に一般的であり，顕著な萎縮が観察されたが，競技選手の等速性筋出力は対照群より特に高速度において大であり，またトルク一時間曲線から力の立ち上がりに優れている可能性が示唆された．中年齢女子や高齢競技者においても筋出力向上の可能性は存在し，またそのトレーニング効果は形態的というより，神経系の要因によるところが大であると推察される．
「デサントスポーツ科学」第7巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
身体トレーニングが筋出力に及ぼす影響を検討するために24名の健常な中年齢女子（42-63歳）と9名の活動的な高齢男子（63-81歳）について測定を行った．13名の女子は週3回12週間にわたり等張性の膝関節伸展トレーニング（実験Ⅰ）を，11名は週5回，8週間の等速性肘関節屈曲トレーニング（実験Ⅱ）を実施した．60-300度/秒の速度範囲でサイベックスⅡを用いて測定した等速性筋出力は両実験群とも全速度において有意に向上したが，それに関連した形態上の変化は認められなかった．
実験Ⅲでは1名のエリート高齢競技選手の大腿外側広筋に生検を施し，静・動的筋出力について8名の対照群と比較した．筋線維組成は同年代に一般的であり，顕著な萎縮が観察されたが，競技選手の等速性筋出力は対照群より特に高速度において大であり，またトルク一時間曲線から力の立ち上がりに優れている可能性が示唆された．中年齢女子や高齢競技者においても筋出力向上の可能性は存在し，またそのトレーニング効果は形態的というより，神経系の要因によるところが大であると推察される．
「デサントスポーツ科学」第7巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
| 研究者名 | 宮下充正*1, 武藤芳照*1, 小田伸午*2, 岩岡研典*1 |
|---|---|
| 大学・機関名 | *1 東京大学, *2 京都大学 |
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