信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 思春期前児童の体力の特性とトレーニングの影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.7 Vol.7

 思春期前の暦年齢及び骨年齢の等しい男子児童,運動群12名と非運動群14名を対象として,呼吸循環機能及び筋機能の測定を行い,両者の相互関係について検討した.呼吸循環系要因として,左室拡張終期径(VLDd)及び左室.重量(LVmass),トレッドミル走による最大酸素摂取量(VO₂max)及び最大心拍出量(Qmax),筋機能として大腿及び下腿の筋横断面積,膝関節伸展力及び足関節底屈力を測定した.また脚筋の酸化能力を示すものとしてトレッドミル走による乳酸性闘値(LT)を測定した。運動群は,身長,体重,大腿筋断面積及び足関節底屈力を除く上記のすべての測定項目で有意に高い値を示した.呼吸循環系と筋系要因の相互関係をみると,大腿筋断面積はVO₂max,LVDdと,また膝関節伸展力も同様にVO₂max,LVDdと0.1%水準の高い相関を示した.また下腿の筋断面積は運動群と非運動群の間に有意差はみとめられなかったが,下腿の足底屈筋群中の緋腹筋比(G/PF)が両群でLTと有意な負の相関を示したことから,それらの関係を比較すると,同一G/PF比に対するLT(VO₂,ml・kg⁻¹・min⁻¹及び%VO₂max)は運動群で有意に高く,脚筋の酸化能力が有意に高いことが示唆された.これらの結果から,思春期前の成長期にある児童の全身的な運動の定期的な実施は,骨格筋を量的質的に発達させ,それが単に対応する筋力だけでなく,呼吸循環系能力にも有意に影響することが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第7巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 跡見順子*1, 福永哲夫*1, 山本恵三*1, 川原貴*1, 山本順子*2
大学・機関名 *1 東京大学, *2 相模女子大学

キーワード

男子児童呼吸循環機能筋機筋横断面積膝関節伸展力足関節底屈力乳酸性闘値(LT)