信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF スポーツ適正という立場からの骨格筋に関する基礎的研究 3.骨格筋線維組成に及ぼす低圧とトレーニングの影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.7 Vol.7

 要旨

 長期間低圧暴露が骨格筋線維組成に及ぼす影響を検討した.
 生後5週齢のSprague-Dawley種の雄ラット24匹を用い,12匹を低圧室(最初の一週間は510torr,それ以後は460torr)で5週間飼育し,そのうち半数は,週6回,1日30分間,5週間の水泳トレーニングを実施した.また,対照群として,常圧下で飼育したラット12匹についても,半数に同様の水泳トレーニングを行わせた.
 10週齢で,麻酔下でヒラメ筋,前脛骨筋,長指伸筋,足底筋,緋腹筋,外側広筋を摘出し,組織化学的方法により名筋の筋線維組成を検討した.
 ヒラメ筋では,低圧水泳群(Hypo. sw),低圧非運動群(Hypo. CO),常圧水泳群(SL SW)の3群のFOG fiberの比率が常圧非運動群(SL CO)に比較して,有意に高いことが認められた.長指伸筋,足底筋では,常圧非運動群に比較して他の3群のFOG fiberの比率が高く,FG fiberの比率が低かった.また,前腫骨筋では,低圧水泳群のFOG fiberの比率が他の3群に比して,僅かに高い値を示したが,有意差はみられなかった.
 低圧(低酸素)および持久性トレーニングにより,組織化学的には,酸化酵素活性の高い筋線維の比率が増大する傾向がみとめられ,酸素不足に対する適応を示すものと考えられる.

「デサントスポーツ科学」第7巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 伊藤一生*1,田口貞善*2
大学・機関名 *1 神戸大学, *2 田口貞善

キーワード

骨格筋線維組成水泳トレーニング常圧下FOG fiber低圧低酸素持久性トレーニング