信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動後の筋痛の発生時期は筋の老化度の指標になるか?

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.8 Vol.8

 要旨

 運動後に生じる筋痛の発生時期と年齢,ならびに日常での身体活動状況との関係を明らかにすることを目的とし,調査および実験を行った.
 まず調査としては20歳代から60歳代の各年齢男女約80名を対象に「加齢に伴ない運動後の筋痛が遅れるようになった」という事実の経験的有無を口頭により調査した.また日常ほとんど運動していない人がスポーツ行事に参加した際の筋痛の発生状況を各年齢で比較する調査を実施した.さらに実験的に,筋痛を生じさせるであろうと考えられる運動を負荷し,筋痛の発生状況を経時的に観察し,年齢との関係も検討した.
 その結果,口頭調査では筋痛の発生時期が遅くなっている事実が調査対象者の90%以上により肯定された.しかし実際の運動後の筋痛調査や実験結果ではこの事実は実証できなかった.年齢と筋痛発生時期との間には一定の傾向は見い出せず,運動の種類によって,また筋の種類によっても筋痛のレベルの変化が異なることが明らかになった.
 口頭調査との間に矛盾があるようにも思えるが,口頭調査でも20歳代で筋痛が遅く出るという事実も認められており,何を基準にして遅れたと評価しているのかを明らかにする必要性があると思われる.また縦断的に年齢と筋痛の関係も検討していく必要性も示唆された.

「デサントスポーツ科学」第8巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 野坂和則
大学・機関名 横浜市立大学

キーワード

運動筋痛年齢