信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 血清過酸化脂質に及ぼす最大運動と最大下長時間運動の影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.8 Vol.8

 要旨

 運動に伴う血清過酸化脂質の変動については,一致した見解が得られていない。そこで本研究は,異なる被検者の短時間の疲労困憊運動と最大下長時間運動が脂質過酸化に及ぼす影響について検討した.
 疲労困憊運動では毎分15〜22.5Wずつ負荷を増加し,長時間運動ではATに相当する強度で1または2時間実施した.肥満女性と長距離選手の1時間運動では,血清過酸化脂質はとくに変化しなかった.また,他の長距離選手の2時間走中には安静値に比べて低下傾向を示した.
 しかし,疲労困侭運動の血清過酸化脂質は運動直後で有意に増加し,運動終了1時間後には安静値にもどった.これらの結果より,組織に低酸素状態を伴うような短時間の疲労困憊運動では,脂質過酸化が高進することが示唆される.また,激運動中の脂質過酸化の高進には,尿酸代謝系のキサンチンオキシダーゼの働きによって生成されるO₂⁻も関与しているものと推察される,一方,酸素の供給が十分なされる運動では,脂質過酸化は抑制されるかもしれない.

「デサントスポーツ科学」第8巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 角田聡*1, 田中喜代次*2, 喜多尾浩代*2, 渡辺一志*2, 中塘二三生*3, 増原光彦*4
大学・機関名 *1 大阪学院大学, *2 大阪市立大学, *3 大阪府立看護短期大学, *4 大阪体育大学

キーワード

運動血清過酸化脂質疲労困憊運動