信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF ストレッチングによる筋痛の生理学的効果に関する電気生理学的解明

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.8 Vol.8

 要旨

 筋痛時における静的ストレッチングの生理学的効果を検討するため,男子学生8名を対象にユニバーサルショルダープレスで70%の最大筋力に値する負荷を加え実験的に筋痛を引きおこした.脊髄運動ニューロン興奮度を定量化するために最大M波,H波およびH/M振幅比を電気刺激により誘発し,on-line−コンピューターシステムで筋痛前後およびストレッチング後にそれぞれ測定した.
 さらに数名の被験者で安静時の筋電図を48時間後まで経時的に測定し,周波数パワースペクトル解析を用い,筋疲労の状態と筋放電電位の振幅を記録,分析した.
 本研究により,1)静的ストレッチングが有意にH/M振幅比を低下させること,2)実験的に誘発した筋痛時において,安静時筋電活動の増加と平均放電周波数の低下が認められ,筋のspasmとtonic系運動ニューロンの同期化の存在が推察されたこと,3)静的ストレッチングがこのような電気生理学パラメーターをcontrolレベルへある程度回復させ得ることなどが明らかになった.これらの結果は先行研究を支持するとともに,筋痛の緩和がストレッチングによって筋張力の増大を伴い,Golgi tendon organsの求心性Ib抑制が脊髄α運動ニューロンに作用するためであると考えられる.

「デサントスポーツ科学」第8巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 森谷敏夫*1, 石田浩司*2, 田口貞善*1
大学・機関名 *1 京都大学, *2 神戸大学

キーワード

静的ストレッチング生理学的効果筋痛筋疲労Ib抑制