信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 神経筋機能からみた優秀スポーツ選手の早期発掘の試み

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.8 Vol.8

 要旨

 随意動作における興奮と抑制のかかわりあいは,運動制御の機序に重要な役割を果している.多くの研究は,巧ち性に富んだ動作の基礎的な機序のひとつとして動作における抑制現象に焦点を当てている.本研究は神経筋機能からみた優秀スポーツ選手の早期発掘を検討しようとするものである.
 敏捷な動作の直前に動作前休止期(PSP)がみられる.スポーツ経験とPSP出現率の関係を18〜23歳の健常者56名について調べた.光刺激に対してできるだけすばやく肘関節伸展動作を指示した.筋電図は上腕三頭筋と二頭筋から表面双極法によって導出し,同時に動作曲線も記録した.
 その結果,スポーツ選手群(剣道,陸上競技,テニス,サッカー,野球)のPSP出現率は非スポーツ選手群より高い.両群の間の動作開始時間,動作時間,発揮筋力に差がみられない.したがって,PSPはスポーツ選手の運動制御発達の基本的な機序を表わすものと推察される.

「デサントスポーツ科学」第8巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 矢部京之助*1, 桜井伸二*1, 脇田裕久*2
大学・機関名 *1 名古屋大学総合保健体育科学センター, *2 三重大学

キーワード

随意動作運動制御抑制現象神経筋機能スポーツ選手