信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 中高年のメディカルチェックと至適運動処方開発のためのスポーツ医学的アプローチ

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.8 Vol.8

 はじめに

 中高年におけるスポーツ活動の必要性が盛んに勧められている.中高年になると加齢の影響として呼吸機能,循環機能,内分泌機能,精神神経機能などの低下1)が現われるが,適度な運動で行うとこれらの機能低下の程度が少なくなることが知られている2).健康で楽しい生活をおくるためにスポーツを役立てようとするわけである.
 一方,スポーツを行うこと自体,身体に対して新たなストレスになるから,これに対処できる身体の機能が備わっていないと自律神経,内分泌や免疫機能に障害をおこすことになる3,4). また,近年,運動中や連動後の突然死が論じられているが,徳留めによれば40歳以上の運動中の突然死の原因としては冠動脈硬化が最も多いとし,村山6)も冠硬化が背景にあると言う.
 このような事故を防ぐ方法として,現在行われるのが医学的検査(メディカルチェック)である.ことにスポーツ医学におけるメディカルチェックは,多くの場合個人のデータ,医学的診断,運動負荷テスト,総合判定から成り立っている.すなわち,静かな状態での一般的な健康診断とは違って,動的な負荷を加えてのチェックをするのが特徴である.
 この運動負荷テストは,その人がどの程度の運動に耐えられるだろうかという運動強度を決定するために行うと同時に,安静時に発見できない潜在性の疾患を,運動という負荷を身体に与えて,その疾患を顕在化し発見するという重要な目的を有している.ところが,現在わが国においてこのようなメディカルチェックをきちんと施行してスポーツ活動を行っている中高年は非常に少ない7).
 そこで今回われわれは,旧制高等学校時時代より45年以上も定期的にサッカーをプレーしている人々を対象にメディカルチェックを実施し,その有用性について検討した.すなわち,サッカーは激しい体接触競技として知られているが,はたして中高年になってもなお継続していてよいのだろうか,もし続けるとしたら何か留意すべき点があるのかについて検討したのである.

「デサントスポーツ科学」第8巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 大畠襄, 白旗敏克, 河野照茂, 小野寺昇
大学・機関名 東京慈恵会医科大学

キーワード

中高年医学的検査(メディカルチェック)心電図超音波断層撮影