信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 妊婦の過剰摂取カロリーの調節ならびに分娩に備えた体力向上を目的とした運動負荷としての妊婦水泳に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.8 Vol.8

 要旨

 分娩に備えた妊婦の体力向上を目的として妊婦管理の中に水泳を導入し,その妊娠・分娩経過および胎児に与える影響について検討を加えた.
 妊婦水泳を行った244例を対象とした.妊娠経過への影響は,早産の頻度からみると2.7%と一般の頻度と差はなかった.妊婦によくみられる浮腫,静脈癌ボ便秘,痔,不眠の諸症状の頻度も水泳群と非水泳群では差がみられなかった.妊娠中の体重増加についても両群で差はなかった.
 分娩経過への影響は,水泳をした初産婦の45%が5時間未満に78%が10時間未満に分娩が終了しており,分娩時間の短縮傾向がみられた.水泳で妊婦の息こらえ時間が延長する結果が得られたことから,この心肺機能の改善と腹直筋等の筋力の向上が分娩時間の短縮へ作用したものと考えられる.
 児の出産体重は一般集団と差はなく,妊婦水泳が胎児に強い負荷を加えることは少ないことが示唆された.
 以上の結果は,水泳が妊婦の体力向上のためのスポーツとして有用であることを示している.

「デサントスポーツ科学」第8巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 小柳孝司*1, 久保田史郎*2, 下川浩*1, 原賢治*1, 中野仁雄*1
大学・機関名 *1 九州大学, *2 久保田産婦人科医院

キーワード

妊婦水泳分娩経過