テニス肘の予防を配慮した指導法に関する研究―各種テニス・ラケットを用いたプレイヤーの前腕筋群への筋負担量からみて―
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.9 Vol.9】
まとめ
I.本実験で用いたテスト・ラケットは表1に示したものだけでも種々の特性を持っており,それらが複合的にプレイヤーに影響を及ぼしていることは言うまでもないが,今回はそれぞれのテスト・ラケットにおける単一の特性とテニス・ストローク時の筋放電パターンならびに筋放電の定量分析結果との関係から以下の点が明らかとなった.
(1)ラケットの重量とそのバランスから試算した指数からみたラケットの振りの重さは,高いアンプリチュードの筋放電に影響を及ぼしているものと考えられる
(2)フレーム・サイズが小さいほど,実際のストローク時のボール・インパクトによる振動が持続する傾向がみられ,また,高いレベルの筋放電の出現率が高い傾向がみとめられた.
(3)フレームの硬さは比較的.低いレベルの筋放電の出現率に影響を及ぼしているものと考えられるが,軟らかなフレームでの場合には高いレベルの筋放電の出現率が高い傾向がみられたことが特徴的であった.
(4)ガットテンションが高い場合は,中間的なレベルの筋放電の出現率を高める傾向がみとめられた.
II.上記の4項目ならびにバックハンド・ストローク時の筋放電のアンプリチュードの各レベルでの分布からみて,テニス・ストロークの指導にあたってはテニス肘を予防するために,以下の点に配慮する必要があろう.
(1)ラケットを選ぶにあたっては,
①フェイス・エリア(横幅)が広く,
②重量とバランスの両面からみて振りが軽く,
③フレームのやや軟らかなもので,かつ
④ガットテンションは高過ぎないようにする.
(2)ストロークに際しては,片手でのストロークは不安定になりやすいことからも前腕にはさらに大きな筋負担となるので,基本的な:練習として,出来うる限り両手でのストロークを試みさせるようにする.
すでに述べたように今回はラケットの単一の特性からのみ筋放電との関係の分析を試みたが,今後さらにテニス・ラケットの複合的な特性と筋負担量との因果関係について統計的に分析する予定である.
「デサントスポーツ科学」第9巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
I.本実験で用いたテスト・ラケットは表1に示したものだけでも種々の特性を持っており,それらが複合的にプレイヤーに影響を及ぼしていることは言うまでもないが,今回はそれぞれのテスト・ラケットにおける単一の特性とテニス・ストローク時の筋放電パターンならびに筋放電の定量分析結果との関係から以下の点が明らかとなった.
(1)ラケットの重量とそのバランスから試算した指数からみたラケットの振りの重さは,高いアンプリチュードの筋放電に影響を及ぼしているものと考えられる
(2)フレーム・サイズが小さいほど,実際のストローク時のボール・インパクトによる振動が持続する傾向がみられ,また,高いレベルの筋放電の出現率が高い傾向がみとめられた.
(3)フレームの硬さは比較的.低いレベルの筋放電の出現率に影響を及ぼしているものと考えられるが,軟らかなフレームでの場合には高いレベルの筋放電の出現率が高い傾向がみられたことが特徴的であった.
(4)ガットテンションが高い場合は,中間的なレベルの筋放電の出現率を高める傾向がみとめられた.
II.上記の4項目ならびにバックハンド・ストローク時の筋放電のアンプリチュードの各レベルでの分布からみて,テニス・ストロークの指導にあたってはテニス肘を予防するために,以下の点に配慮する必要があろう.
(1)ラケットを選ぶにあたっては,
①フェイス・エリア(横幅)が広く,
②重量とバランスの両面からみて振りが軽く,
③フレームのやや軟らかなもので,かつ
④ガットテンションは高過ぎないようにする.
(2)ストロークに際しては,片手でのストロークは不安定になりやすいことからも前腕にはさらに大きな筋負担となるので,基本的な:練習として,出来うる限り両手でのストロークを試みさせるようにする.
すでに述べたように今回はラケットの単一の特性からのみ筋放電との関係の分析を試みたが,今後さらにテニス・ラケットの複合的な特性と筋負担量との因果関係について統計的に分析する予定である.
「デサントスポーツ科学」第9巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 吉澤正尹*1, 根本芳男*2, 井谷徹*3, 圓山槇雄*4, 熊本水瀬*5, Bengt Jonsson*6 |
---|---|
大学・機関名 | *1 福井大学, *2 大阪教育大学, *3 岡山大学, *4 圓山医院, *5 京都大学, *6 スウェーデン労働衛生研究所 |
キーワード