運動が免疫機能に及ぼす影響について
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.9 Vol.9】
要旨
健康の維持増進の一端を担う生体防衛機能に対し,運動が如何なる影響を与えるかは,重要な課題である.そこで,長期的運動継続による免疫機能の変化を観察するに先がけ,一過性の運動負荷が,細胞性免疫機能に及ぼす影響を検討した.
非鍛錬者に,無酸素性代謝闘値レベルを約15W上回る,30分間の運動を負荷した結果,末梢血中において,白血球数と穎粒球数の著明な増加が生じた.この運動負荷の際に,Tリンパ球のsubsetであるOKT4陽性リンパ球とOKT8陽性リンパ球の出現率の比は有意に低下し,Bリンパ球機能の抑制作用が疑われた.
一方,NK細胞に対する影響を検討した結果,NK細胞活性の有意な上昇が認められ,運動が腫湯細胞やウイルス感染細胞の破壊と排除に,重要な意味を持つ可能性がある.
しかし,これらと逆の動きが運動終了後30分間の休息時に認められ,一過性の運動による免疫当細胞の応答は,一時的なものであり,安静時の生体防御能を維持する可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第9巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
健康の維持増進の一端を担う生体防衛機能に対し,運動が如何なる影響を与えるかは,重要な課題である.そこで,長期的運動継続による免疫機能の変化を観察するに先がけ,一過性の運動負荷が,細胞性免疫機能に及ぼす影響を検討した.
非鍛錬者に,無酸素性代謝闘値レベルを約15W上回る,30分間の運動を負荷した結果,末梢血中において,白血球数と穎粒球数の著明な増加が生じた.この運動負荷の際に,Tリンパ球のsubsetであるOKT4陽性リンパ球とOKT8陽性リンパ球の出現率の比は有意に低下し,Bリンパ球機能の抑制作用が疑われた.
一方,NK細胞に対する影響を検討した結果,NK細胞活性の有意な上昇が認められ,運動が腫湯細胞やウイルス感染細胞の破壊と排除に,重要な意味を持つ可能性がある.
しかし,これらと逆の動きが運動終了後30分間の休息時に認められ,一過性の運動による免疫当細胞の応答は,一時的なものであり,安静時の生体防御能を維持する可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第9巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 喜多尾浩代*1, 山田尚*2, 河野一郎*3, 田中喜代次*2, 桑島史朗*2, 中塘二三生*4, 松田光生*5, 前田如矢*2 |
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大学・機関名 | *1 大阪府立看護短期大学, *2 大阪市立大学, *3 筑波大学, *4 大阪府立看護短期大学, *5 筑波大学 |
キーワード