信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高齢者早朝登山者の体力

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.11 Vol.11

 高齢者の運動が,加齢による体力の低下にどのように影響しているかを検討するため,規則的に早朝登山を実施している,60歳以上の高齢者(平均年齢69.9±6.7歳)男子135名と女子118名に対して,彼らの体力水準と登山の実施条件について検討した.測定項目は身長・体重・体脂肪率・垂直跳び・握力・立位体前屈・踏台昇降運動時心拍数・脚パワーである.比較対象として,普段規則的な運動を実施していない同年齢の一般高齢者の体力と比較した.
 登山群の登山実施条件は,頻度が週6.4±1.3日,片道距離は2.0±1.0km,時間は29.0±1.6分,平均登山速度は71.7±27.2m/min,期間は11.0±6.7年であった.登山中の平均心拍数は,91.2±4.5拍/分であった.登山群の握力・垂直跳び・立位体前屈は,一般高齢者よりも優れた結果を示すとともに,立位体前屈は加齢による低下率も登山群の方が小さかった.また,脚パワー・柔軟性は登山距離と負の相関が,踏台昇降運動時心拍数は登山距離と有意な正の相関関係が認められた.以上のことから,高齢者の早朝登山は,体力の改善に有効であり,また,登山距離は運動の効果を得るための重要な要因であることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第11巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 平川和文*1, 岡田修一*1, 神吉賢*1, 高田義弘*1, 小田慶喜*2, 家治川豊*3
大学・機関名 *1 神戸大学, *2 姫路濁協大学, *3 甲南女子大学

キーワード

高齢者体力登山