信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 運動の糖代謝臓器偏位およびホルモンの分泌動態に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.11 Vol.11

 健常人,および血糖コントロールが良好な糖尿病患者に一定の運動負荷を加えた前後の大腿筋肉のエネルギー代謝動態を31P-MRSを用いて検索した.健常人に比し,糖尿病患者では運動負荷後の回復が遷延することを認めた.
 ¹⁹F-MRSを用い,ラット・家兎に3-Fluoro-Deoxy-Glucose(3FDG)および2FDGを200mgあるいは500mg静注し,全身および臓器別のin vivo糖代謝動態を経時的に測定,その有用性を検討した.全身の3FDG・2FDGは投与直後から上昇,以降4〜8時間高値を維持した.3FDG投与時,直後からその誘導体の軽度の上昇を認めた.以上,3FDG,2FDGを用いた19F-MRSは,in viva代謝動態の臓器別・連続的・非侵襲的計測法として有用であることを認めた.
 非肥満,血糖コントロール良好なインスリン非依存性糖尿病患者に軽度,中等度,強度の運動負荷を,それぞれ60分問,30分間,15分間行った.中等度強度運動負荷時,運動終了後血糖の再上昇および乳酸NEFA,成長ホルモンの上昇を認めたが,軽度運動負荷時にはこれらの明らかな上昇を認めなかった.
 これらのことより,糖尿病患者の運動療法の導入には,代謝動態の動揺をきたさぬような各個人の個体特性に応じた運動処方の選択が重要であることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第11巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 河盛隆造, 山崎義光, 久保田稔
大学・機関名 大阪大学

キーワード

糖尿病運動負荷エネルギー代謝動態代謝動態