信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 9歳から17歳にいたる子供の筋力,筋酸化能力および呼吸循環系機能の縦断的発達

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.11 Vol.11

 暦年齢9〜10歳の特別に運動習慣をもたない男子9名を対象として,思春期をはさむ8年間にわたり,呼吸循環系機能(左室拡張期径(LVDD),Vo₂max),筋機能(大腿筋断面積(TCSA),脚仲展力(TMS))および下腿筋の酸化能力(腓腹筋/下腿三頭筋比(G/PF),トレッドミルによる乳酸性閾値(CT))について年1回縦断的に測定を行い思春期の体力の発達の様相ならびに相互関係について観察し検討した.暦年齢によって各測定値を比較すると項目ごとの急増期にかなりのばらつきがみられた.
 骨年齢によって項目ごとの急増期を比較すると身長で13〜16歳LVDD12〜15歳,Vo₂max13〜15.5歳,TCSA14〜16歳TMS12〜16歳で,呼吸循環系では形態の発達が機能に対しやや先行する傾向,筋の発達はやや遅れる傾向がみられたが,筋力では個人により発達のパターンが異なり筋断面積との間に一定の関係はみられなかった.またLT-Vo₂では13〜16歳であった.
 この骨年齢に対する個人内での各項目間のスパート時期の一致度をみると,身長にスパートのみられる者(7名)ではその時期に対応してLT%以外のスパートがみられたが,身長にスパートのみられない者では呼吸循環系,筋系ともにスパートの変化が小さくまた必ずしもその増加時期は一致しなかった.LT-Vo₂は発育にともない上昇する傾向を示したが,Vo₂maxの上昇がそれにまさって大きく,したがってLT%の低下する者がみられ個人差を大きくした.この個人差はG/PFによりかなり説明され,%LTとの間に9〜17歳の発育期間中相関を示した.
 これらのことから子供の発育発達を生理学的に知るためには縦断的研究と骨の発育(化骨:骨年齢と長軸方向:身長)を指標とした解析が有用であることが明らかになった.

「デサントスポーツ科学」第11巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 跡見順子*1, 福永哲夫*1, 川原貴*1, 八田秀雄*1, 山本順子*2, 佐竹隆*3, 岡島佳樹*4, 池川繁樹*5
大学・機関名 *1 東京大学, *2 相模女子大学, *3 日本大学, *4 東京大学, *5 日本女子大学

キーワード

呼吸循環系機能筋機能脚仲展力下腿筋の酸化能力暦年齢骨年齢スパート時期