信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF リポ蛋白代謝から見た運動効果の男女について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.11 Vol.11

 運動による虚血性心疾患予防の重要な根拠とされている運動の血清脂質改善効果を確認するために,運動の直接効果を具現させ得る過激な運動において,その急性効果について検討した.その結果,従来より運動の慢性効果として報告されているトリグリセリド(TG),総コレステロール(T-C)の低下,高比重リボ蛋白(HDL)コレステロール(HDL-C),HDL₂コレステロール(HDL₂-C)の上昇などの,lipoprotein lipase(LPL)活性上昇に基づくと考えられる血清脂質の変化が,急性効果としても認められた.しかしこの効果には男女差があり,女性においてはその効果は乏しく,その理由のひとつとして,この変化にテストステロンが関与している可能性が示唆された.
 また今回の過激な運動で増加を示したHDLは,その内容からanti-atherogenicな機能の乏しい可能性も考えられ,適度の運動の慢牲効果の場合も含めて,今後の課題として,運動による単なる血清HDL-C値あるいはHDL₂-C値の上昇のみでなく,その機能の変化について、もさらに検討を加え,どのような運動が本当に身体にとつて有益か,解明していくことが必要と考えられる.

「デサントスポーツ科学」第11巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 高波嘉一, 岩根久夫, 下光輝一, 勝村俊仁, 安部由美子, 川合ゆかり, 浜岡隆文, 藤波嚢二, 中島英文, 石井ユリ子
大学・機関名 東京医科大学

キーワード

運動虚血性心疾患予防血清脂質過激な運動男女差テストステロン