信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 踵の緩衝特性について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.12 Vol.12

 人間の歩行運動が他の動物のそれと大きく異なる点のひとつには,交互の立脚動作が踵からの接地に始まるところにある2)走運動においても疾走時の場合を除いては,踵から接地するのが一般的である11).走運動中には踵に対して体重の2倍から3倍の力が作用することが明らかとされており5.11),踵部における緩衝機能が極めて重要であることは容易に察せられる.
 人間の踵骨の下には10mmを上回る脂肪層とそれを包む筋結合組織がよく発達しているというX線的および解剖学的所見9,10,12)からも明らかなように,踵裏の組織は足自体や下肢部の骨格への直接的な力作用を軽減する上で極めて重要な働きを担っている.この様な緩衝機構により,たとえコンクリート路面上でも裸足で歩くことや走ることが可能であり,訓練と順応しだいではマラソンまでをも走り抜くことが可能となる.
 生体内の緩衝材料については,生化学的な側面および生体力学的な側面から数多くの基礎的研究が行われている.しかし,それらは,膝関節3)や骨格機構13)に関するものであり,踵下の組織の緩衝機能に焦点を置いた研究報告はこれまでにも非常に数少ない1,11).
 本研究では踵骨下に装備されている脂肪層を中心とした生体組織がどの様な力学的特性にあるのかについて調べるための衝撃試験機の設計と試作,そしてそれにより踵の緩衝特性に関する基礎資料を得ることを目的とした.

「デサントスポーツ科学」第12巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 木下博*1, 小川武範*2, 生田香明*1, 葛原憲治*1
大学・機関名 *1 大阪大学, *2 兵庫教育大学

キーワード

踵骨衝撃試験機緩衝特性着地衝撃