中学生スポーツ選手における血液・鉄代謝異常に関する研究
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.12 Vol.12】
スポーツの普及にしたがい,スポーツ医学の重要性が増してきている.今回,われわれはこれまでの研究,報告をふまえ,スポーツの低年齢化に対処すべく,男子中学生運動選手における血液一般検査,鉄代謝検査,ハプトグロビン,CPK,ミオグロビンを測定し,さらに運動にともなう諸症状のアンケート調査をあわせて行い以下の結果を得た.
1.血液一般検査では赤血球数,ヘモグロビン値,ヘマトクリット値はいずれも正常範囲内ではあったが,対照群に比して有意に低下しており,また,約12%に低色素性の貧血が認められた.
2.鉄代謝検査では血清鉄,総鉄結合能,血漿鉄飽和率はいずれも正常対照群と有意差を認めなかった.しかし,血清フェリチン値は,運動群で有意に低下しており,鉄欠乏状態の存在が明らかとなった.
3.血清ハプトグロビン値は,運動群で有意に低下しており,溶血の存在が明らかであった.
4.CPKは正常対照群との問に有意差は認められなかったが,運動群で高値の傾向を示した.一方,ミオグロビン値は運動群で有意に増加しており,いわゆるスポーツ筋症ともいえる状態を反映しているものと考えられた.
5.アンケート調査の結果,約65%に何らかの自覚症状があり,心身両面からの対策が必要と考えられた.
「デサントスポーツ科学」第12巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
1.血液一般検査では赤血球数,ヘモグロビン値,ヘマトクリット値はいずれも正常範囲内ではあったが,対照群に比して有意に低下しており,また,約12%に低色素性の貧血が認められた.
2.鉄代謝検査では血清鉄,総鉄結合能,血漿鉄飽和率はいずれも正常対照群と有意差を認めなかった.しかし,血清フェリチン値は,運動群で有意に低下しており,鉄欠乏状態の存在が明らかとなった.
3.血清ハプトグロビン値は,運動群で有意に低下しており,溶血の存在が明らかであった.
4.CPKは正常対照群との問に有意差は認められなかったが,運動群で高値の傾向を示した.一方,ミオグロビン値は運動群で有意に増加しており,いわゆるスポーツ筋症ともいえる状態を反映しているものと考えられた.
5.アンケート調査の結果,約65%に何らかの自覚症状があり,心身両面からの対策が必要と考えられた.
「デサントスポーツ科学」第12巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 大原行雄, 前吉俊, 小林威夫, 上原好雄, 桜田恵右, 宮蔚保, 石田祐一 |
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大学・機関名 | 北海道大学 |
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