信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 非観血的および簡便的決定法による水泳疲労性閾値はAT(無酸素性作業閾値)に成り得るか

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.15 Vol.15

 本研究の目的は,競泳選手に用いられたCritical Swimming Velocity(Vcri)が,最大乳酸定常レベルでの運動強度と等しい関係にあるかどうか検討することである.Vcriは,理論的に疲労しないで泳ぎ続けられることのできる泳速度と定義されており,それは,泳いだ距離とそれに要した時間との関係の回帰直線のスロニプ(傾き)として表されることができる.
 8名の大学水泳選手が本研究に参加し,200mと400mの最大努力泳を行った.そして,Vcriは,たて軸に泳距離(200mおよび400m)を,よこ軸にそれぞれの最大努力泳による時聞(記録)を取り,2点を通る直線のスロープから求められた.その結果,Vcriは血中乳酸濃度4mmol/lに相当する泳速度および400m最大泳速度に有意な相関関係を示した.最大乳酸定常テストでは,被験者は,Vcriの98%,100%および102%の泳速度(V98%cri,V100%cri,V102%cri)で1,600m(400m×4回)泳を行った。血中乳酸濃度は,V100%criにおいて3.2mmol/lでほぼ定常レベルであったのに対し,V98%criでは有意な低下を,そして,V102%criでは有意な増加を示した.これらの結果から,2回の最大努力泳から求められたVcriは,最大乳酸定常レベルの運動強度と等しい関係にあることが判明した.

「デサントスポーツ科学」第15巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 若吉浩二*1, 生田香明*2, 吉田敬義*2, 森谷敏夫*1
大学・機関名 *1 大阪大学, *2 京都大学

キーワード

Critical Swimming Velocity(V cri)最大乳酸定常レベル運動強度泳速度