信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 有酸素性作業中における呼吸循環機能に対する筋グリコーゲンローディングの効果

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.15 Vol.15

 12名の健康な女子被験者において,有酸素性作業中の呼吸循環応答に及ぼす筋グリコーゲンローディングの効果について検討した.長時闇自転車作業(75%Vo₂maxの負荷130〜160分間)と高糖質食摂取(4〜5日間)により,脚筋のグリコーゲンローディングを行った.被験者はこのローディング前後に,同一負荷による最大下自転車作業(50〜65%Vo₂max強度,31分間)を行った。その作業中に計測された酸素摂取量(Vo₂),心拍数(HR),主観的運動強度(RPE),換気交換率(RER),筋放電量,血中乳酸濃度(LA)を,ローディング前後間で比較した.その結果,グリコーゲンローディング後には,同一の自転車作業を行うために必要なVo₂が減少した(P<0.01).このVo₂の低下には,HRおよびRPEの有意な低下(P<0.05)が伴われ,またRER(P<0.01)とLA(P<0.05)の有意な上昇も示されていた.さらに,外側広筋から導出した表面筋電図の積分値(IEMG)を指標とする筋放電量が,ローディング後に上昇するという結果もみられた(P<0.05).
 これらの結果から,ローディングの効果ともいえるVo₂の低下を招くしくみとして,活動筋における解糖作用と筋グリコーゲン分解の高進が働いたのではないかと考えられた.さらに,ローディング後には,LA生成が多く,高いIEMGが顕れやすい速筋線維が優先的に動員され,最終的にVo₂を低下させたのではないかとも推察された.呼吸循環機能の応答から,ローディングの効果を検討した本実験においても,筋グリコーゲンローディングがパフォーマンスの向上に有効であると示唆された。

「デサントスポーツ科学」第15巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 定本明子
大学・機関名 奈良女子大学

キーワード

有酸素性作業呼吸循環応答筋グリコーゲンローディング自転車作業高糖質食摂取