信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 筋内科学受容器反射からみた血圧調節に対するトレーニング効果の判定

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.16 Vol.16

 筋の収縮にともなう筋内pHの低下を筋内化学受容器反射に対する入力刺激そしてそれに対応する血圧の上昇を反射の出力反応とすると,筋内pHの低下に対する血圧増加の割合が筋内化学受容器反射の感度と仮定できる.本研究では,実際に筋内PKと血圧変化を測定して,筋内化学受容器反射の感度を各被検者で計算できるかどうかを検討した.さらに,運動トレーニングが筋内化学受容器による血圧調節に影響を及ぼすかどうかを,上述の感度をトレーニング群とコントロール群で比較することによって検討した.
 被検者はコントロール群としての男子7名とトレーニング群としての大学テニス選手4名とした.最大筋力の50%で30,45,および60秒間の静的なハンドグリップを行い,それぞれの収縮終了5秒前から前腕部分を止血して,運動終了後2分間の止血期の筋内pHと平均血圧(MAP)を測定した.得られた結果は以下に示すとおりである.
 1)各被検者ごとの筋内pHとMAPの回帰直線を求めたところ,すべての被検者において,直線の相関係数が0.8以上であった.このことから今回用いた方法で,各被検者ごとに筋内pHとMAPの直線関係を求めて,筋内化学受容器反射の感度を比較することが可能であることが示された.
 2)コントロール群とトレーニング群で,筋内pHとMAPとの関係を比較してみると,いずれの群においても有意な直線関係がみられたが,群間で較べると,トレーニング群の方が若干傾きが大きい傾向にあるがその差は有意ではなかった.したがって,今回の結果からは,トレーニング群とコントロール群で,筋内化学受容器反射の感度には差がないことが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第16巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 西保岳, 村上恵, 森本恵子, 丹信介, 西保見矢子
大学・機関名 山口大学

キーワード

筋内pH筋内化学運動トレーニング最大筋力平均血圧(MAP)