廃用性筋委縮に及ぼす高蛋白食摂取ならびにアナボリックステロイド投与の影響
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.16 Vol.16】
後肢懸垂による骨格筋の重量ならびに収縮機能の変化に及ぼす摂取蛋白量の違い,ならびにアナボリックステロイド投与の影響を検討した.3週間の後肢懸垂によりヒラメ筋,足底筋重量は著しく減少し,それに伴う最大筋力の低下が観察された,ヒラメ筋においてのみ筋断面積あたりの最大筋力の低下が観察され,これは筋線維の崩壊を含む筋原線維蛋白量の低下や細胞間液量の相対的な増加に起因するものと考えられた.
アナボリックステロイドは後肢懸垂による筋重量,ならびに最大筋力の減少を抑制する効果を示し,とくに速筋の足底筋において大きな効果が見られた.単縮の時間経過の短縮がアナボリックステロイド投与と同様,懸垂ヒラメ筋において認められたが,足底筋では変化が見られなかった.
疲労耐性は,後肢懸垂により増加する傾向を示し,アナボリックステロイドの影響は見られなかった.今回用いた飼料の摂取蛋白量の影響は収縮機能には差は見られなかったが,高蛋白摂取はヒラメ筋内の異常な筋線維比率の増加や染色性の低下を抑制する結果が得られた.
以上の結果から,筋萎縮進行過程における筋蛋白合成促進刺激は骨格筋の萎縮や崩壊を軽減し,筋力の低下を抑制することが示唆された.しかし,後肢懸垂による骨格筋の変化およびそれに及ぼすアナボリックステロイドの効果に対して,必要量以上の摂取蛋白量の違いによる影響は少ないと思われた.
「デサントスポーツ科学」第16巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
アナボリックステロイドは後肢懸垂による筋重量,ならびに最大筋力の減少を抑制する効果を示し,とくに速筋の足底筋において大きな効果が見られた.単縮の時間経過の短縮がアナボリックステロイド投与と同様,懸垂ヒラメ筋において認められたが,足底筋では変化が見られなかった.
疲労耐性は,後肢懸垂により増加する傾向を示し,アナボリックステロイドの影響は見られなかった.今回用いた飼料の摂取蛋白量の影響は収縮機能には差は見られなかったが,高蛋白摂取はヒラメ筋内の異常な筋線維比率の増加や染色性の低下を抑制する結果が得られた.
以上の結果から,筋萎縮進行過程における筋蛋白合成促進刺激は骨格筋の萎縮や崩壊を軽減し,筋力の低下を抑制することが示唆された.しかし,後肢懸垂による骨格筋の変化およびそれに及ぼすアナボリックステロイドの効果に対して,必要量以上の摂取蛋白量の違いによる影響は少ないと思われた.
「デサントスポーツ科学」第16巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 山内秀樹, 米本恭三 |
---|---|
大学・機関名 | 東京慈恵会医科大学 |
キーワード