信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 退行性に萎縮を余儀なくされた骨格筋の回復を促す運動負荷と加齢の影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.16 Vol.16

 本研究は,退行性萎縮に伴う筋機能の変化に,加齢による差が生じるか検討し,さらに各年齢層において,退行性に萎縮した運動器の回復を促す適切な運動負荷方法の策定を試みることを目的とし,生後12および50週齢のウィスター系雄性ラットに,2週間の後肢懸垂を負荷した後,強度の異なる運動を負荷して得られた,ひらめ筋および長趾伸筋を用いて検討した。
 2週間の後肢懸垂負荷により,遅筋であるひらめ筋の湿重量の有意な低下が認められた.この現象は,12および50週齢ともに認められたことから,不使用により萎縮が生じる筋のタイプと,その程度に加齢の影響は少ないと考えられた.また,2週間の後肢懸垂負荷により遅筋線維の割合,最大張力およびCa²⁺に対する感受性の変化は,加齢により大きく影響を受けると考えられた.
 不使用により低下した筋収縮機能は,不使用時間と同一時間の通常飼育により,ほぼ懸垂前値まで回復した.しかし,高齢群では回復が遅延する傾向が認められた.低強度運動負荷が萎縮により低下した筋収縮機能の回復を促進する傾向が認あられ,この傾向に週齢による差は認められなかった.
 以上より,加齢により筋の蛋白質合成能力の低下が示唆された.萎縮により低下した筋収縮機能は,低強度の運動負荷によりその回復が促進された.しかし,その傾向は週齢により異なり,至適運動負荷強度は年齢に依存することが示された.

「デサントスポーツ科学」第16巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 山下勝正, 吉岡利忠
大学・機関名 聖マリアンナ医科大学

キーワード

退行性萎縮筋機能加齢運動負荷方法遅筋線維