信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 衣料品の環境中のガスによる黄変に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.16 Vol.16

 環境中のガスによる衣料品の黄変の機構を調べるために,二酸化窒素ガスを用いて各種繊維に対する収着性や反応性,さらには黄変した繊維の色彩,繊維上の蛍光染料の影響,BHTなどの酸化防止剤の影響などについて検討した.密閉系のガス収着実験装置を用い,ナイロンおよび綿繊維に対する二酸化窒素ガスの収着速度および収着量などを測定した結果,ガスの繊維への収着速度はきわめて高速で,繊維が水で湿潤しているとその収着量は著しく増大することが判明した.
 黄変した繊維の分光反射スペクトルには,ガスの収着によるものと基質との反応による場合との間に違いがあることが判明した.蛍光染料が存在すると,二酸化窒素によって蛍光染料の量子収率が低下し,染料独自の黄色が顕著になることによって黄変することがわかった.酸化防止剤のBHTが存在すると,二酸化窒素によって保存中にBHTが着色し黄変が顕著になることが明らかになった.実際の衣料品用包装材料を分析した結果,酸化防止剤のBHTの他にその酸化物である数種の黄変物質が検出された.

「デサントスポーツ科学」第16巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 上田充夫, 梶原莞爾, 岩田彬, 脇田登美司
大学・機関名 京都工芸繊維大学

キーワード

衣料品黄変二酸化窒素ガス蛍光染料酸化防止剤