信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 小児肥満児に対する食事+運動療法が腹腔内脂肪蓄積に及ぼす影響について

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.18 Vol.18

 本研究の目的は個人ごとに設定した食事+運動療法の併用が,小児肥満児の体脂肪分布,生活習慣病危険因子,有気的作業能に及ぼす影響について検討することである.対象は単純性肥満児童9名であり,腰高部CT画像より皮下脂肪面積,内臓脂肪面積を定量した.早朝空腹時に採血を行い,TG,HDL-C,LDL-C,尿酸などの生活習慣病危険因子と皮下・内臓脂肪面積との関連を検討した。運動療法は毎日の日課としての運動(ジョギング,なわ跳び,肥満体操,エアロビクス等)19週間と,そのうち10週間は自転車エルゴメータを用いた50% Vo₂max強度の有酸素的運動を1日30分,週2〜4回付加的に行った.食事療法は肥満の程度に応じて1日1400〜1900kcalの間で行った.
 食事+運動療法後,皮下脂肪面積,内蔵脂肪面積とも有意に減少(それぞれ,249.5から158.9cm²,46.0から28.5cm²へ)し,それに伴い,生活習慣病危険因子も改善した.また,有気的作業能力の指標である最大酸素摂取量は28.9から32.9ml/kg/minへと有意に増大し,体力面での向上も認められた.
 以上の結果より,小児肥満児における適切な食事療法と有気的な運動療法の併用は体脂肪分布を変化させるとともに生活習慣病危険因子や有気的作業能を改善させ,肥満の早期治療,将来の生活習慣病予防の点で有効であることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第18巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 冨樫健二*1, 増田英成*2, 藤沢隆夫*2
大学・機関名 *1 三重大学, *2 国立療養所三重病院

キーワード

食事運動療法小児肥満児体脂肪分布生活習慣病危険因子有気的作業