信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 乳酸性パワーを向上させるためのトレーニング法の確立

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.18 Vol.18

 本研究では,自転車エルゴメータを用い,特に乳酸性パワーを向上させるインターバルトレーニングをデザインすることを目的とした.被検者は,高校総体出場レベルの男子陸上短距離選手16名であった.1.0kp,0.075kp/kg BW,そして0.15kp/kg BWの負荷での10秒間全力駆動後の血中乳酸値は,0.075kp/kg BWにおいて最も高かった.そして,その負荷での10秒,20秒,30秒および40秒間全力駆動では,運動後の血中乳酸値は40秒駆動において最も高かったが,単位時間あたりの乳酸蓄積量は10秒駆動で最も高く,出力パワーと血中乳酸値との関係では,10秒および20秒駆動においてのみ有意な相関がみられた.
 以上の理由から,総運動時間2分,総休息時間10分で共通するInt20(20秒間全力駆動,2分休息,6セット)およびInt40(40秒間全力駆動,5分休息,3セット)のインターバルトレーニングをデザインした.この2つのトレーニング実施後の血中乳酸値を測定した結果,Ind40では14.7mmol/lで,Int20の13.5mmol/lと比べ有意に高い結果であった.そこでTnt40を週3回,1年間競技選手に処方し,トレーニング効果を確認した.その結果40秒パワーにおいて26.5%,40秒パワー後の血中乳酸値では34.2%の向上が認められた.出カパワーのみならず,運動後の血中乳酸値も上昇したことから,この自転車エルゴメータを用いた0.075kp/kg BWでの40秒間全力駆動,5分休息,3セットのインターバルトレーニングは競技選手の乳酸性パワーを向上させるのに有効なトレーニングであったと考えられる.

「デサントスポーツ科学」第18巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 若山章信, 山根真紀, 柳等, 田村真一
大学・機関名 財団法人 スポーツ医・科学研究所

キーワード

自転車エルゴメータ乳酸性パワーインターバルトレーニング血中乳酸値