信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 成人女性における運動後回復期余剰Vo₂(EPOC)に及ぼす食事のカロー摂取制限の影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.18 Vol.18

 近年,運動後数時問に及ぶ酸素摂取量(Vo₂)の充進が報告され,EPOCと呼ばれ始めている.このEPOCの存在は,減量や健康を目的として運動を取り入れている対象者,特にしばしば運動と同時に食事由来のカロリー制限を同時に行っているような女性にとっては,重要な意味をもっと考えられる.しかしながら現在まで,女性に関するEPOCの研究は極めて限られたものしか存在しない.そこでわれわれは以下の目的で実験を行った.まず実験1として,sedentaryな日本人の若い成人女性でEPOCが存在するか否かを検討する.その結果もしも意味あるEPOCが存在したならば,次に実験2として,性周期を合わせたうえで,EPOCに及ぼすカロリー制限の影響を検討する.
 実験1には6名の被験者が参加し,黄体期に,運動強度が70%of Vo₂maxで,60分間の自転車エルゴメータ運動を行った.運動は午前中に行われ,運動前と運動後7時間の各1時間ごとにVo₂が測定された.非運動日として,運動なしで同様なスケジュールの測定がなされた.結果として,運動終了後4時間目まで有意な余剰稀,が認められ,EPOCの総量はおよそ4〜51であった.
 実験2には4名の被験者が参加し,実験1と基本的に同様な実験が,性周期別(黄体期・卵胞期),カロリー摂取制限別(基準食・制限食)の各条件下で行われた.食事は実験前日から2日間,厳密にコントロールされ,基準食は1600kcal/day,制限食はそのちょうど半分,800kcal/dayに設定された.2元配置分散分析の結果,EPOCはカロリー摂取制限の有無によって有意な影響を受けることがわかった.すなわち,制限食条件下でのEPOCは基準食でのものと比較して有意に滅少した.
 これらの結果から,sedentaryな日本人の若い成人女性でも,ある程度以上の運動強度で,ある程度の長い時間にわたって継続された運動の後には,意味あるEPOCが数時間にわたって認められるが,それは急性のカロリー摂取制限で有意に減少させられるということがわかった.

「デサントスポーツ科学」第18巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 福場良之*1, 三浦朗*1, 加藤秀夫*1, 國重智子*1, 菅輝*2
大学・機関名 *1 広島女子大学, *2 広島大学

キーワード

運動酸素摂取量EPOCカロリー摂取制限別