長時間に及ぶ激しい運動が酸化低比重リポ蛋白(酸化LDL)生成を促進する可能性について
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.19 Vol.19】
本研究では,長時間に及ぶ激しい運動の動脈硬化に対する影響を明らかにするために,血清中の酸化LDL濃度の変化,血清の総合的抗酸化能力の変化,抗酸化ビタミンの動態をトライアスロン競技をモデルとして検討した.その結果,過酸化障害の一つである酸化LDLは競技前に比して競技直後に有意な増加を示し,競技1日後にさらに上昇したが,基準値の範囲内であった.一方,血清に酸化剤添加後,酸化が急速に進むまでの時間(lag time)を総合的抗酸化能力の指標として検討したところ,lag timeは競技前と比べて競技直後に有意な延長を示し,その際のlag timeは血清中ビタミンC濃度と有意な相関を示した.
さらに競技直後の血漿中酸化LDL濃度の変化と血清の総合的抗酸化能力の変化との間には負の相関傾向が認められた.しかし,競技翌日には両者の間に有意な相関は認められなかった.
以上より,長時間激運動時に,酸化LDLの増加が認められたが,抗酸化能力の十分な増強により酸化LDLの生成増加を抑制し得る可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第19巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
さらに競技直後の血漿中酸化LDL濃度の変化と血清の総合的抗酸化能力の変化との間には負の相関傾向が認められた.しかし,競技翌日には両者の間に有意な相関は認められなかった.
以上より,長時間激運動時に,酸化LDLの増加が認められたが,抗酸化能力の十分な増強により酸化LDLの生成増加を抑制し得る可能性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第19巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 川合ゆかり*1,勝村俊仁*1,下光輝一*1,高波嘉一*1,丸山千寿子*2 |
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大学・機関名 | *1 東京医科大学,*2 日本女子大学 |
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