信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 女性エリートランナーにおけるオーバートレーニングが骨代謝と月経異常に及ぼす影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.19 Vol.19

 女性の競技選手,とくにマラソンや長距離種目を専門とする選手では骨密度が低いとの報告がなされている.今回,骨量に及ぼすトレーニングの影響を検討するために超音波骨量測定装置を用いて,右踵骨の超音波伝播速度(speed of sound;SOS),広帯域超音波減衰係数(broadband ultrasound attenuation;BUA)およびこの両者から算出される超音波指標であるStiffnessindex(Stiffness)の測定を行った.また,骨代謝状態を把握するために骨吸収および骨形成マーカーの測定を行った.
 今回の結果では非運動群と比較して,運動群のStiffnessおよびSOSが有意に高いことを認めた.また,月経異常を呈する者において,正常な月経周期を呈する者と比べて骨量および骨代謝マーカーに差はみられなかった.このことは,エストラジオールの分泌が1名を除き確認されたことから,月経異常による骨量低下を招くトレーニング量まで到達していない可能性が考えられ,運動性無月経の症状によっては無月経による影響を相殺して骨量維持に効果を及ぼしている可能性が示唆された.また,エストラジオールが検出不可能な10pg/ml以下であった1名の被験者については,第度無月経であることが推察され,体脂肪率も15.1%と低値であり,無月経に体脂肪率の減少が伴うことで,骨量の低下を招いたと推察される.

「デサントスポーツ科学」第19巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 永田瑞穂*1,渡辺雅之*2,有吉正博*2
大学・機関名 *1 財団法人三菱養和会,*2 東京学芸大学

キーワード

女性の競技選手骨密度骨粗鬆症