信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 血圧の連続測定からみた中高年齢者のレジスタンストレーニングの安全性

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.19 Vol.19

 本研究では,中高年齢者のレジスタンストレーニング(RT)愛好者が日常実施している代表的なRTを対象とし,「初動負荷(Ballistic Resistance Training;BRT)」と「終動負荷(non−BRT)」によるRT中の酸素摂取量(VO₂),血中乳酸濃度(HLa濃度),血圧(SBP,DBP)およびダブルプロダクト(DP=HR×SBP)を連続測定するとともに,運動種目および強度との関連から,RTの安全性について検討を加えることを目的とした.その結果,以下のことが明らかにされた.
 1)下半身のRT中のSBP,DBP,HR,DPおよびRPE(Rating of Perceived Exertion)は,non−BRTがBRTと比較して有意な高値を示した(p<0.001).
 2)下半身のRT中のHLa濃度は,non−BRTがBRTに比較して高値を示す傾向が認められた.
 3)上半身のRT中の各生理学的パラメータには,BRTとnon−BRTとの間に顕著な差異は認められなかった.
 4)BRTとnon−BRTによるVO₂,BPおよびDPの差異は,負荷が大きくなるにしたがって(とくにStage3以降)顕著となった.
 5)自転車駆動による漸増負荷テスト時と比較して,non−BRT中の同一VO₂に対するSBP,DBPおよびDPは顕著な高値を示した.
 6)本被検者におけるBRT中の平均VO₂および平均%VO₂maxは,それぞれ15.5ml/kg/minおよび45.7%VO₂max(エネルギー消費量;438.7kcal)であった.
 以上より,BRTはnon−BRTと比較してとくに運動中の血圧の顕著な上昇が抑制されることから,中高年齢者の筋量,筋力および健康連関体力の維持・増進のためのRTとしての安全性が確保され,かつ有効であることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第19巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 中村夏実*1,根本勇*1,小山裕史*2,黒田善雄*1
大学・機関名 *1 日本女子体育大学,*2 ワールドウィング

キーワード

初動負荷終動負荷酸素摂取量血中乳酸濃度血圧